歯のQ&A

平成30年12月27日(木) 東日新聞掲載

先日、奥歯に物が詰まる感じがあり歯医者に行ったところ、銀歯をかぶせた歯の中で虫歯が出来ているとのことでした。そのような銀歯をかぶせた歯でも、虫歯や悪くなることがあるのですか?
(30代女性・会社員)

[回答者]
豊橋市歯科医師会・山本尚
 はい、そのようなことが起こります。
 今回のように、一度治した部分に隣接して虫歯ができてしまった状態を「二次カリエス」と言います。歯科の治療によって詰めたりかぶせたりしたものは、金属や合成樹脂などの人工物です。人工物に直接虫歯ができて穴が開くようなことはないのですが、かぶせ物とご自分の歯との継ぎ目がうまく磨けずに汚れをためてしまったりすると二次カリエスが起こります。神経の無い歯では虫歯になっても痛みを感じないため、大きな穴になるまで気が付かないこともしばしばです。かぶせ物がダメになってしまう原因としては、かぶせ物がすり減ったり壊れたりする場合よりも、二次カリエスや歯周病でかぶせ物をしてある歯自体がダメになってしまうケースが圧倒的に多いように実感しています。もともと治さなければならなかった歯というのは、うまく磨くことができずに虫歯になってしまった歯です。虫歯も歯周病も大きな原因はうまく歯磨きができていないことですから、治した後は特に注意して歯磨きをする必要があります。
 また、熱いものを食べたり冷たい飲み物を飲んだりすることの温度変化や食べ物を噛むときの圧力などで、かぶせ物・詰め物と歯をくっつけている歯科用の接着剤が経年的に劣化して、歯との間に隙間ができてしまい二次カリエスの原因となることもあります。何本かの歯をかぶせ物で連結して補強したり、ブリッジといって歯の無い部分に前後の歯を橋げたにして橋を架けるように固定式の入れ歯を入れている場合には、片側のかぶせ物が外れていても本人は気が付かないこともあります。
 ほかにも、神経の無い歯では、かぶせ物の中で歯にヒビが入ったり、根っこの先に感染を起こして膿の袋を作ってしまうことがあります。とくべつ自覚症状のないまま、徐々に骨を溶かしながら膿の溜まりが大きくなり急に歯茎が腫れて痛くなって歯医者さんを受診される方もいます。
 二次カリエスの予防や早期発見早期治療のためには、定期的に歯医者さんに行って検診やメンテナンスをしてもらうことをお勧めします。