歯のQ&A

平成31年1月16日(水) 東日新聞掲載

昔はきれいな歯並びが自慢でしたが、年を取るに従い重なったり、傾いたりしてきた気がします。歯並びは年齢とともにこんなにも変化するものでしょうか?
(60代女性 主婦)

[回答者]
豊橋市歯科医師会・原一成
 そうですか、自慢のきれいな歯並びに変化が起こってきたということですがそれは心配ですね。きれいな歯並びというものは自慢に値する、私もそのように思います。
 ご質問頂きましたその歯並びというものは萌出してから年を重ねるごとに少しずつ変化をして参ります。その原因として①年齢による生理的なもの、②歯周病など疾患による病的なもの、大きく分けてこの二種類が考えられます。
 まず①年齢による生理的な変化については日常生活の中で隣の歯と擦すられることで歯の横の面がすり減ったり、食事や重いものを持つ時などに上の歯と下の歯が噛(か)み合い噛む面がすり減ることで生えそろった状態から歯並びは変化していきます。しかしこの生理的変化についてはほとんどの場合、極端な変化を起こすことはありません。
 次に②歯周病など疾患が原因の場合は歯肉の炎症、歯槽骨の吸収(骨が下がる)が起こり歯を健康な時と同じように支えることができなくなり歯は正常な位置から大きく変化したり揺れてきたり、場合によっては抜けてしまうこともあります。
 そして万が一このような状態に陥るときれいであった歯並びが大きく変化してしまうことが時として見られます。
 お話をお伺いましたところ日頃よりしっかりとご自分の歯を大切にされている方であると推察いたします。健康な歯と歯周組織を守るためには、日頃のお手入れが最も大切なことであることは間違いありません。しかし自分で見逃しているところがないか、きれいな歯並びが重なってきたり傾いてきた原因は何であるのか。また現在のお手入れをより一層確実なものにするには、そしてきれいな歯並びを維持されていくためにこれから必要なことは何であるのかを歯科医院での定期的なチェックを行うことも一つの有効手段であると考えます。
 自慢であるきれいな歯並びをこれからもぜひ維持していかれて下さい。