歯のQ&A

令和2年1月31日(金) 東日新聞掲載

こどもの歯がなかなか抜けないので写真を撮ってもらったら、生まれつき大人の歯が少ないと言われました。大丈夫でしょうか?
(40代女性・小学2年生の母)

[回答者]
豊橋市歯科医師会・坂根瑞
 生まれつき大人の歯(永久歯)が欠損していることを「先天性欠如」と呼びますが、大人になっても永久歯が生えるべき部位に乳歯が残ったままになります。乳歯が残っていても咬(か)み合わせとして機能する分には問題ありませんが、乳歯は永久歯よりエナメル質や象牙質が薄く、歯の根も短いため、あまり長持ちせず、20歳前後で抜けてしまうことも少なくありません。そして、抜けたまま放置していると、周辺の歯が動いたり倒れこんだりして、歯並びや咬み合わせが悪くなる要因となってしまいます。加えて、顎の成長に悪影響を与えたり、顎関節症などにつながったりする可能性も少なからずあります。また前歯部においての先天性欠如は審美的な問題も起きてきます。
 先天性欠如歯の本数は1~2本のことが多いものの、まれに10本以上欠如しているケースもあります。そうなる原因として遺伝や全身疾患、薬の副作用などが影響しているのではないかと考えられていますが、現状でははっきり解明されていません。
 今回のケースにおいては、かかりつけの先生と長期的な治療計画を立ててもらう必要があります。考えられる計画としては、将来、矯正治療で永久歯のない部分の咬み合わせを改善すること、またブリッジやインプラント治療で欠損している部分を補うことも必要になる可能性もあります。ですから機能的にまた審美的に問題が起きる前に定期的にチェックしてもらいましょう。