歯のQ&A

令和3年5月31日(月) 東日新聞掲載

酸っぱいものはなぜ唾液(だえき)がたくさん出るのですか?
(20代女性 学生)

[回答者]
豊橋市歯科医師会会計・鈴木誠一郎
 酸っぱいものを食べた時に唾液がたくさん出るのは、味覚・唾液反射が起きるためです。私たちの舌には「PKDチャンネル」と呼ばれる酸味を感知するセンサーが存在していています。このセンサーは舌の奥や脇に存在し、酸っぱいものが入ると感知し、唾液が出るのです。
 では、なぜ、このセンサーが酸っぱいものを感知して唾液が出るのでしょうか。これは酸っぱいものを身体が毒と判断して生じる反応と考えられています。毒性のあるものは強い酸味を伴うものが多く、そういうものを口に入れると、その毒性を薄めようと唾液をたくさん分泌する働きが、人間には備わっているのです。
 大脳で考えて、唾液が出るのではなく、延髄を通じての反射なので舌が酸味を感知したらすぐに唾液が出るのです。  また、強い酸が口の中に入ると、歯のエナメル質を柔らかくし、エナメル質を擦り減らしてしまうのですが、一気にたくさんの唾液を出す事で酸を薄め、これを防ぐ働きもあるのではないかとも言われています。
 唾液はこのように、口の中を洗い流す働きがあるので、酸っぱいものを一口入れると、口臭予防に有効とも言われています