歯のQ&A

令和3年6月17日(月) 東日新聞掲載

虫歯じゃ無いのに歯が欠けました。何故ですか?
(20代男性 学生)

[回答者]
豊橋市歯科医師会監事・溝口政宏
 今回は「歯が欠ける原因」についてお話したいと思います。
 虫歯や事故やふとした事で歯をぶつけたり、硬い物を無理に噛(か)んでしまったりで欠ける事は想像がつくと思いますが、その他ではどんな原因で欠ける事があるのでしょうか。
 ①寝ている時の歯ぎしりや食いしばりの時は食べ物が上下の歯の間に介在する事無く上下の歯同士に体重以上の噛む力がかかるため、力が集中した部分が欠けたり、ひどい時には割れてしまいます。歯ぎしりする方の特徴として、朝起きると首や肩が痛い、口の中に骨が盛り上がって出来たコブがある、朝起きたら歯の欠片が出て来た、歯が削れて奥歯の凹凸が無い等があります。対策として、歯ぎしりのためにマウスピース(歯ぎしり防止装置)が保険で作製出来ますので、それをはめておけば歯ぎしりがあっても歯が欠ける前にマウスピースがこすれるか割れるかが起こり、歯が欠ける事態を回避する事が出来ます。
 ②噛みやすいからという理由で右側や左側だけで偏って噛む事が多い、いわゆる片側噛みの方は、噛む事が多い側が欠けて来ます。常に食事の度に負担がかかる事で歯にひびや亀裂が少しずつ入り、硬い物を噛んだ瞬間に欠けたり割れたりする事が多いです。対策として噛み難い側を多少でも使用する事で回避出来ますが、簡単な方法としては、硬い物は噛み慣れた側で先ず潰しておいて、柔らかく成ったら噛み難い側で噛むという習慣をつけると良いでしょう。噛み難い側もこういう使い方をして行くと、噛む筋力が付くため、次第に硬い物も噛めるようになって行きます。片側で噛み続けると使わない側の筋肉が衰え、使う側の筋肉が発達するので、顎がずれていわゆる、への字口になります。
 いかがでしたか、負担がかかる事で歯が欠ける事は共通ですが、虫歯以外にも理由がある事がご理解頂けたかと思います。