歯のQ&A

令和3年8月1日(日) 東日新聞掲載

奥歯の歯茎の肉の辺りが痛みはないのですが、白くなっていて気になります。歯ブラシで磨いたり気をつけていますがなくなりません。何なのでしょうか?
(60代女性)

[回答者]
豊橋市歯科医師会監事・中島章雄
 歯茎や舌、頬の内側の粘膜、舌の下の粘膜、左右の上の歯茎の間の粘膜などにできる擦っても取れない白斑は〝口腔白板症〟であると思われます。原因は明らかになっていませんが、悪い歯並びや尖(とが)った虫歯や差し歯、合わない義歯により口腔粘膜を継続的に噛(か)んだり、傷つけたりする機械的刺激が主な原因と考えられています。傷つけたりしている歯や差し歯、さらには入れ歯がないか確認し、歯を丸めたり入れ歯を調整したりします。歯肉にも認める場合は、歯磨きが強すぎる可能性もあり歯磨き指導を行うこともあります。また、口腔白板症は約10%が癌化するといわれていますので口腔外科で病理組織検査を受けていただいて、癌(がん)を認めた場合や癌になりやすい場合は、手術で病変を切り取ります。また、癌化するリスクが高くない場合は経過観察となります。
 口腔白板症の一番の予防は、普段から自分の口の中に関心を持って観察することと、歯や入れ歯、さらには歯磨きとの関係が強く考えられるため、かかりつけ歯科医院を持ち定期的に受診することです。